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「貼る」AIと「読みに行く」AI
ChatGPTに長い原稿を貼って相談すると、必ず同じ壁にぶつかる。原因は使い方ではなく、AIがあなたの原稿に触れられるかどうかにあります。アシスタントとエージェント、二種類のAIの違いを書き手の道具として整理します。
ChatGPTに長い原稿を貼って相談したことがあれば、こういう作業に覚えがあるはずです。原稿をコピペして相談する。フィードバックを元に修正して、また原稿を貼り直す。別の日に相談するときは、また最初から貼り直して、作品の前提を説明する。
これは使い方が下手なのではありません。あなたが原稿を貼る側に回っている、ソフトウェアの仕組みの問題です。
Coreに相談するときは、どうすればいいのでしょうか?原稿をコピペする必要はなく、単にチャットに相談内容を書くだけです。
この違いの裏には、二種類のソフトウェアの性質があります。あなたが情報を渡す「アシスタント」の使い方と、AIが自分で読みに行く「エージェント」の使い方です。
アシスタントは、貼ったものしか知らない
アシスタントは賢く、貼った内容はその会話のあいだ、覚えています。問題は記憶力ではありません。そもそも、あなたが貼ったものしか知らないことです。
原稿はあなたのファイルの中にあります。けれどアシスタントは、それを勝手に開けません。読ませたければ、あなたがコピーして貼るしかない。しかも一度に渡せる量には上限があります(コンテキストウィンドウと呼ばれます)。長い原稿を丸ごと貼ろうとすると入りきらず、あふれた古い部分は押し出されて消えていく。別の日に新しく話しかければ、前の会話は残っておらず、また貼り直しです。
だから長い原稿の相談では、あなたが情報の運び役になります。関係しそうな箇所を探し、コピーし、貼り、背景を説明する。相手が知らなければ、また貼る。AIと対話しているようでいて、実際に手を動かし続けているのは人間のほうです。
エージェントは、自分で読みに行く
エージェントは、この関係が逆になります。
エージェントとは、目的を渡すと、それを果たすために必要な情報を自分で集め、手順を自分で決めて動くAIのことです。あなたが原稿を貼るのではなく、AIがあなたのファイルを自分で開いて読みに行きます。受け身か、能動か。ここが分かれ目です。
Coreは自分で読みに行く
私が作っている Core という執筆アプリのAIは、エージェントとして動きます。
たとえば評伝を書いていて、「序章では対象人物の渡欧を1901年としたが、第4章の記述と食い違っていないか」と尋ねたとします。
するとAIは、プロジェクトのファイルを見渡し、「序章」「第4章」やそれに関係しそうな年表のメモに当たりをつけ、その中身だけを開いて読みます。そのうえで、「序章では1901年、第4章では1902年と記しています。年次が一致していません」というように、根拠にしたファイルを添えて答えます。
このあいだ、人間は何も貼っていません。
資料の裏取りも同じ仕組みです。「明治期の新聞発行部数を裏づける典拠はあるか」と尋ねると、Coreは国立国会図書館のデータベースを自分で検索します。それらしい書名を記憶から引っぱり出すのではなく、実在の資料に当たってから答えるので、存在しない文献をでっち上げにくくなります。
「ファイルを開く」「図書館を検索する」といった一つひとつの動作を、AIが目的に合わせて選び、実行し、その結果をもとに次の動作を決める。この繰り返しが、エージェントの動き方です。
運ぶのはAI、決めるのは人間
エージェントが原稿を読み、資料を調べても、何を書くかを決めるのは最後まで書き手です。矛盾を指摘されても、直すか、あえて残すかを選ぶのは人間で、エージェントが引き受けるのは、その手前の情報を集めて運ぶ作業だけです。
これはAIに主導権を渡す話ではなく、作業の効率化の話です。原稿が長くなるほど、この差は効いてきます。貼りきれない分量になった瞬間、貼られたものしか見ないアシスタントは行き詰まり、自分で読みに行けるエージェントだけが、作品全体を踏まえて答えられます。
原稿を運ぶ手間が減るほど、人間は書くことに戻れます。
私が作っている Core は、この「AIが自分で原稿を読みに行く」体験を、書き手のために形にしたアプリです。macOS向け、14日間の無料トライアル付きです。→ corewrite.app